水回りの位置を変更して洗面室と脱衣場を分離。脱ぐ、洗う、干す、片付ける動線が短い室内物干し！

専有面積52.88m²　3LDKの間取りをどうプランニングするか・・・

before

今回のプランニングですが、親戚の伯父・伯母夫婦からの要望で作成しました。
子供は独立しており、夫婦共にリタイア済。家にいる時間が長くなったので、二人の生活にあわせたリフォームをしようという話になっているそうです。私が趣味でプランニングしているのを二人とも知っていたので「リフォーム業者に申し込む前に、簡単にでいいから提案してくれないか？」と連絡がありました。連絡を受けた翌週、二人の住むマンションへ行き現況を確認。間取りは3LDKで、LDKと個室2部屋が続き間になったよくある間取りです。キッチンは15年前にL字型の対面タイプにリフォーム済。
夫婦2人で住むならば、洋室の壁を取り払ってLDKを拡張して2LDKにし、個室2部屋を夫妻それぞれのプライベートルームにしたり、1部屋は寝室に、もう1部屋は書斎や趣味を楽しむ多目的スペースにしてもよさそう。クロスやフリーロングを交換するだけでガラッと雰囲気は変わりますが、どうせやるなら動線も見直して、自分だけの住まいを楽しんで欲しいと思います。
今の間取りの不満や希望を確認したところ「夫婦二人で3部屋は多い」「子供たちがここで寝泊まりすることはない（※車で30分の場所に住んでいる）から、部屋数は減らしてかまわない」「どこにいてもお互いの気配を感じることができて、でも一人の時間も大切にしたい」という意見が出ました。最後に伯父から「今言ったことを軸にしながら、あとは好きにやってかまわない」この一言でスイッチが入ってしまいました・・・！

プライベート空間とパブリック空間を帯状のラインで2つに区切る

※勝手に妄想しているため、実現可能かは不明です。

玄関土間を広げて、その一角に洗面台を配置。近所の貸農園で野菜作りを始めた伯父が、帰宅後すぐに手を洗ったり、野菜の泥を落としてから室内に入れるようにしました。玄関土間に洗面台があるため、床の汚れや水ハネを気にすることなく利用できます。シューズクロークは道具置場にもぴったり。洗面台のすぐ横から脱衣場（洗濯機置場）にアクセスできます。ここにも窓があり、窓を開ければ通風◎ 天井には物干しポールを設置して、室内干しができるようにします。脱衣場や浴室は湿気対策のために24時間換気が付いており、この24時間換気と窓の通風、サーキュレーターを置いて風を循環させれば室内でも洗濯物が乾きやすく、また乾いた服はすぐ近くにあるWICに収納します。『脱ぐ→洗う→干す→片付ける』これらの動線が短くなるよう考えました。

玄関を入ると目に入るのがリビングにつながる幅の大きな引き戸。この家のアクセントとして、幅1300ミリくらいの『大きな動く壁』を考えました。ドアは造作です。ノンレールの上吊りタイプにすれば床に段差ができずフラットな仕上がりになります。ドアを開ければ玄関土間からLDKまでつながる開放的な空間になり、洗面台前の窓を開ければ室内を風が通り抜ける効果も。ドアに続き、キッチンも造作です。長いテーブルは普段は作業台に、子供ファミリーが来た時はテーブルに早変わり。キッチン背面の壁面収納には衣類以外の物を入れます。衣類はWICに、それ以外はキッチンシェルフに集合。片付けの手間を減らす仕掛けです。
ダイニングキッチンとリビングの間はあえて段差を設けました。子供ファミリーが来た時に、ソファーだけでは席が足りない。そんな時にこのベンチの段差が活躍します。段差は間接照明を入れて奥行きを演出。

LDKがあるラインをパブリックスペースに、サニタリーやWIC・書斎コーナー・ベッドスペースが続くラインをプライベートスペースに区分しています。書斎コーナーやベッドスペースは完全な個室にはせず、壁で間仕切るだけ。プライベート感を保ちながらもお互いの気配を感じやすい空間にしています。

さて、かなり思い切ったプランに仕上がりました。ドキドキしながら二人に見せたところ、「自分たちでは考えられない！！」「予想外！まさかこんな間取りが出てくるなんて！！」と大好評でした。実現できるかわからないと重々念押ししましたが、二人はこのプランでリフォームをしてくれる業者を探すそうです。